ご挨拶

康本　征史（やすもと　まさふみ）

　平成28年5月26日に行われた日本歯科医師会の定例記者会見で、3月末時点の会員の平均年齢が59歳一か月となったとの発表がありました。歯科医師の数は全体として10万人を超えておりますが、昨今の歯科医師抑制政策もあって高齢化が進んできているようです。

　我々の資格は生涯資格であり、年齢で区切りがあるわけではありません。だからと言って、いつまでも診療を続けることができるわけではなく、地域における医療機関として、いつかは次へと承継していかなければならないわけです。

　つまり、歯科医師としては生涯現役でも歯科医院としては有限であり、これまで通っていただいた患者さんのためにも、勤務してくれたスタッフのためにも、医院として継続されていくことが望ましいのです。しかし、これまで事例が少なかったこともあって、医院の承継をどのように進めていけばよいのか、というノウハウが十分に集められているわけでありません。むしろ、ノウハウはないといっても言い過ぎではないかもしれません。

　私自身も50歳を過ぎ、子供達の進路が歯学部ではないことから、将来医院をどのようにして継続していくか、いつから承継を準備し、実行していくのかについて考え始めました。いわゆる第三者承継についてです。それぞれの歯科医院において、親子承継や第三者承継、あるいは閉院など医院の進む道は異なりますが、その準備については早く始めれば始めるほど、自身の望む形に近づくと言えます。さらに、人生のエンディングにおいては、相続問題も絡んで参ります。ご自身のお考えをまとめつつ、専門家の意見を聞くことでその先の安心につながるものと考えております。

　この度、承継における考え方の一つとして本書を上梓させていただきました。また、専門家の窓口として「承継相談センター」についても全国に設置をさせていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

2017年1月発行「～50歳になったら真剣に考える～医院承継」より
一般社団法人 日本歯科イノベーション協会　会長　康本　征史

法人概要